鬼気迫る男

  • 2008/02/25(月) 11:14:09

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)
(1993/08)
岡本 太郎

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私は大学生時代、弓道をやっていた。

その弓道の師匠(弓道部の監督。範士八段)の面構えが、岡本太郎によく似ていた。


鬼気迫る人物だった。

一年生の時、ふらりと道場に現れた。

先輩方が凍りつくように緊張しているのが分かった。

この人の前では、どんなごまかしも利かない。

『的を虎の目と思え!』

カミナリ様が歩いているかのように、そばに行けば感電しそうなほど、ビリビリとしたオーラを発していた。

的に向けて射る一本一本の密度が、格段に高くなった。


この人の“目つき”が、岡本太郎ソックリなのだ。

ぐっと眉を吊り上げ、細い両目をカッと見開き、
中空を睨んだまま、固まったような面構え。

ぐいとへの字に結んだ口は、絶対に妥協や甘えを許さない頑固さを如実に物語っていた。
これも、岡本太郎とソックリである。

どうも、何かの道で“一流”を極めるような人物は、ある種、キチガイじみた側面があるらしい。

人格的には、とても円満とは言えない。

まさに、鬼気迫る顔のまま、歩いているのだ。
かといって、体格はヒョロリとして、筋肉などは無い。

しかし、そんな先生に教えられる方は、たまったもんじゃない。

一瞬たりとも気が抜けない。
手を抜けばすぐに見抜かれる。
言い訳を一切許さない。

鹿児島県指宿市に、先生の住まいがある。
毎年、夏と春には先生の息子が経営するユースホステルに泊り込み、掃除や皿洗いをしながら合宿をした。

ある年の合宿でのこと。

先生がふらりと私の前に立った。

いきなり、「この一本、当てるか!?」と聞いてきた。
「当てられるか?」というような、可能性を問う質問ではない。
「絶対に当てる!」という決意のほどを問う質問である。

すぐさま、「当てます」と答えた。

すると先生は、「おーい、○○(私の名)が、この一本を当てるそうだ。みんな前に来て、見ていろ」と言って全員を集めて上座に正座させ、私一人で弓を引かせた。

「え?ちょ、ちょっと待って下さいよぉ〜」なんて弱音を吐くような余裕はない。

「当てます」という決意表明の直後、全員が注視する前で、それを実行させられる。
うだうだ考えている暇はない。
こういう場合、即座にハラを括らなければならない。
そういう練習だった。

静かに、ゆっくりと弓を引き・・・そして、当てた。

あれが、先生との一番の思い出だ。
その先生も、私が大学を卒業する前に他界された。

とんでもない、いわば狂人のような面を持った先生だったが、私は好きだった。
先生も、なぜか私を気に入ってくれて、何かと目をかけてくれた。
焼酎が好きだった。一升瓶を抱え込んでは、ちびりちびりとやっていた。

その先生いわく、「お前は石橋を叩かずに渡る奴だ」

それって、無鉄砲って意味?

・・・今となっては懐かしい思い出である。





さて、実はここからが本題になる。


   一瞬たりとも気が抜けない。
   手を抜けばすぐに見抜かれる。
   言い訳を一切許さない。


・・・このような状況に身を置くというのは、滅多に無い。


しかし、何事にせよ、真剣に歩む人というのは、このような厳しい師匠がいてもいなくても、

自分一人で自分を厳しく見つめ続けているはずである。

果たして、それだけの厳しさで、日々、自分自身に対峙しているかどうか。

中途半端な妥協や誤魔化しは、他人には分からなくても、自分だけには分かるはずである。



自分の「心」や「言葉」や「行い」のすべてを知っているのは自分。

それはつまり、自分の「真ん中」にいる神である。

神は外にではなく、自分の「真ん中」にいるのだ。




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この記事に対するコメント

自分のこころをみつめつづけること。

こんばんわ。
先日、ミクシイのおともだちの彩紀さんと御一緒しました折に、お名前をうかがいまして、たちよらせていただきました。
まさに、「今」必要な言葉たちばかりですね。
ありがとうございます。
そして、多くの人の魂にとどきますよう。

  • 投稿者: 月下  桜
  • 2008/02/25(月) 23:45:23
  • [編集]

>月下 さん

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
彩紀さんをご存知ですか。それはまた奇遇ですね(^^)
こちらこそ、よろしくお願いします。

  • 投稿者: ジンガ
  • 2008/02/26(火) 00:26:46
  • [編集]

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